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2013. 2. 26

パワーインダクタチェッカ


L、C、Rの受動部品のうち、唯一広く自作されているのがL(インダクタ)です。自作する場合は、意図したとおりの仕様になっているか確認するため、Lメータは必須アイテムといえるでしょう。しかし、インダクタンスの測定は一筋縄でいかない厄介な面もあります。

というのも、測定する際の周波数や電流によってインダクタンスが変わってしまうからです。ラジオ回路用なら実際の使用に近い周波数で測定する必要がありますし、電源回路用ならDC重畳による変動、特にどの程度の電流まで飽和せずに使えるかといった特性が重要になります。

今回は、パワーインダクタのチェックに特化した測定アダプタを製作してみました。なお、実際の測定にはオシロスコープ(20MHzで十分)が必要になります。

原理

インダクタに一定の直流電圧を加えると、I = E * t / Lにしたがい、右の図に示すように時間と共に電流が増加していきます。Lが一定なら増加率は一定でグラフは直線になりますが、Lに電流依存性があると増加率が変わりグラフはカーブすることになります。

そこで、インダクタにパルス電圧を加えて電流波形を観測することにより、インダクタンスとその電流依存性を容易に確認することができるのです。

ハードウェア

PCB
回路図

右の写真に製作したインダクタチェッカの写真と回路図を示します。約50Hzの頻度で測定対象のインダクタにパルス電圧を加え、そのときの電流波形をオシロスコープで観測します。同じ電圧なら、波形のランプが緩やかなほどインダクタンスが大きいと言えます。

パルス幅は、広い範囲のインダクタンスに対応するため、ボリウムで任意に調整できるようになっています。供給電圧Vsは、電圧を任意に設定できる安定化電源等で外部から供給します。また、パルス電流によってVsがディップすると測定に影響を与えるため、C1,C2には超低ESR型のキャパシタを使用してVsを安定化させる必要があります。

いろいろ測ってみる

TDK TSL0808-220K1R7
A: 21.5μH
B: 定格電流=1.7A
C: 3Aで飽和 (フェライトコアは急峻な飽和が特徴)
D: 3.2μH (飽和すると空芯コイルと等価になるので瞬時でも越えないように注意)
太陽誘電 LHLZ06NB221K
A: 230μH
B: 定格電流=360mA
C: 650mAで飽和
D(E): 43μH (巻線抵抗の影響で電流が頭打ちになる)
トーキン HP053Z
A: 85μH at 0A
B: 50μH at 5A
C: 27μH at 10A
D: 定格電流=5A (ダストコアは飽和特性が緩やかなのでピーク負荷に強い)
秋月 TCV-201K-9A-802
A: 300μH at 2A
B: 160μH at 4A
C: 65μH at 9A
D: 定格電流=9A (と謳ってはいるが、たぶんこのスペックはデタラメで、TCV-101Mが9A、ほかはL値に反比例する思われる)
ジャンク 100μH
A: 108μH
B: 2.5Aで飽和
C: 16μH
ジャンクM/Bの電源部から
A: 2.3μH at 10A
B: 1μH at 40A
C: 60Aで電流リミッタ動作
D: Vsのディップは約0.5V、Rsでのドロップが0.6Vあることにも注意。
↑のコアで巻き直し(6T→18T)
A: 20μH at 3A (巻き数3倍なのでインダクタンスは9倍。トロイダルコアは漏れ磁束が少ないので計算通りの特性が得られる)
B: 12μH at 8A
信号用コア材(FT-50-#77)
A: 90uH
B: ギャップの無い高μコアは飽和しやすく、電力を扱えない。

資料

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