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1999.11.7
Update: 2001.1.7

ポケットサイズ MP3プレーヤ


MP3プレーヤ

携帯オーディオ機器としては久しぶりの新顔である MP3プレーヤが登場してちょっとした話題になっています。2000年初頭には各大手メーカから一斉に出揃い、携帯オーディオの一分野としてスタートすることでしょう。MP3については今更説明する必要もないでしょうからその辺の説明は割愛しておきます。

さて、そんな旬のモノを自作ってしまおうというわけで製作したのがこれ。とりあえずポケットサイズと言える程度のサイズを目標に製作してみました。その結果、何とか秋月電子のアクリルケース(SK-5)に収まりました。フロントパネルの絵柄は、気にしないように(^_^;。

MP3プレーヤの要である MP3デコーダのチップセットには若松通商の店頭で見つけた物を使用しています。マイクロコントローラには最近流行りの AVRを使用してみました。音声データの記録媒体にはどこでも手に入るスマートメディアを流用しています。

製作したMP3プレーヤの仕様

主要LSI MCU:AT90S8515 (アトメル)
DSP:MAS3507D (MICRONAS INTERMETALL)
DAC:DAC3550A (MICRONAS INTERMETALL)
記録メディア スマートメディア(NAND型EEPROM)
容量:16MB, 32MB, 64MB, 128MB
操作キー 再生(一時停止)、停止、順方向スキップ、
逆方向スキップ、ボリウム+、ボリウム-
対応データ形式 MPEG1/2, Layer-2/-3, VBR再生可
〜256kbps (4MHz動作時)
〜384kbps (6MHz動作時)
データ転送・管理 ISPケーブルを流用してパソコンからで書き込
みや消去等のトラック管理。
サイズ 90mm(W) x 70mm(D) x 23mm(H)
質量:97g(電池別)
電源 単4型乾電池×2本
外部入力 2.0〜3.5V
消費電力 再生中:310mW (F10版DSPでは210mW)
ポーズ・オンライン:75mW
待機時:0
製作費 約 \8,000〜\9,000 (部品代)

基本的な仕様を左の表に示します。再生機能では 6個のキーで携帯プレーヤとして必要最低限な動作のみをサポートします。

取り外し可能な記録メディアとして、デジカメ用で主流のスマートメディアを使用しました。ただし、スマートメディア規格ではなく独自のフォーマットで使用しているので他の機器とのデータ互換性はありません。

データ管理には F/W書き込み用のシリアル接続 ISPケーブルを使い、パソコンを使って書き込み・消去などのトラック操作を行います。

ハードウェア


部品面半田面QFP実装
ブロック図
本体回路図 (2000. 6.29)
専用電源回路図
本体部品表

回路

この MP3プレーヤの回路は、主に 3つの LSIで構成されます。まず、入力された MPEGデータをデコードして IISデータとして出力する DSP。その IISデータをアナログ信号に変換する DAC。そしてそれらの LSIや MPEGデータの操作などシステム全体を制御するマイクロコントローラです。

これといって特筆するような点の無い単純な回路なのですが、これは市販の MP3プレーヤにしてみても同じことが言えます。実際、メーカ製のプレーヤもこの構成にせいぜい LCDが付く程度と、とてもチープな設計なのが普通です。それでもあんなに高価なのは、付属・内蔵などで「メモリ」が含まれているからで、その分を引けば本体は \10k以下になってしまうでしょう(それより高ければぼったくりです(^_^;)。

DSPには 昇圧型DC-DCコンバータが内蔵されています。これにより、別に DC-DCコンバータを追加することなく変動の大きいバッテリ電圧から安定化された電圧を得ることができます。このことから、この DSPは主に携帯機器(つまりMP3プレーヤ)を狙って設計されているようです。この回路では 3Vに昇圧してシステム全体の動作電源としています。

電源スイッチは設けず、PLAYボタンと STOPボタンが電源スイッチを兼ねています。PLAYボタンだけは電源回路にもつながっていて、これが押されると Q1が ONになって電源が入り、あとはマイコンで Q1を ONに保持するようになっているのです。

P4は 6ピンのピンヘッダで、AVR標準の ISPコネクタとなっています。このコネクタは F/Wの書き込みだけでなく、ホストとの通信で音声データの転送やトラックの操作にも使用します。

P2はメモリカードへのインターフェースコネクタです。とりあえずスマートメディアを直結するように設計していますが、それに限らずパソコンや他のメモリカードなどMPEGデータの供給源になるものなら大体つなげられると思います(当然ながら F/Wの書き換えや多少の回路変更は必要ですが)。

基板の製作

右上のIMGにメイン基板の写真を示します。何分、ポケットサイズに作る必要から、使用した LSIはすべて QFP品を使用しています。さらに、それらを基板にマウントするために変換基板さえ使えないので、ユニバーサル基板上に ICを直接マウントします。

まず、両面スルーホールのユニバーサルボードにポリイミドテープを貼ってこれをベースにして、その上にICを接着して固定します。あとはφ0.2のUEWなどを使って ICのリードに直接配線していくわけです。ポリイミドはとても耐熱性が高いので、半田付け程度の熱では何の変化もしません。

CR類は全てチップ部品を使用して両面実装しました。両面のユニバーサルボードを使うのですから、部品も両面実装しないともったいないという物です。

SMソケットの製作

soket

これが一番苦労したところで、スマートメディアのソケットが手に入らなかったということです(製作当時は秋葉で店頭に在庫している店が無かった)。したがって、これは自作する羽目になりました(右図)。でも、それにより市販のソケットよりも小型にできたのが何とも皮肉なところ (^^;。現在は秋葉でもソケットが入手可能になってきました。

オーディオ性能

試しにオーディオアナライザで特性を計ってみました。で、結果は…

SNRは、92dB。MP3プレーヤとしてはもちろん、オーディオ機器として十分通用する性能ですね(^^)。

THD(1kHz)は.... 0.06%。あまり良くない(^_^;。DAC自体の性能は、データシートから 0.01%ということなので、これは MP3圧縮によるものでしょう。実際、使用するエンコーダによって歪率はかなり変わります。0.06%というのは、Fraunhofer IISのエンコーダを使用した場合で、他のフリーで出回っているエンコーダは 0.09%以上になってしまいます。

ファームウェア

このMP3プレーヤは、スタンドアロンモードとオンラインモードという 2つの動作モードを持ちます。

スタンドアロンモード

通常はこのモードで動作します。MP3プレーヤとして動作するモードで、全てのトラックを順に無限ループで再生します。トラックジャンプやボリウム調整など、プレーヤとして最低限必要な機能は入れてありますが、何分操作ボタンが 6個しかないので、あまり複雑な機能は入れられませんでした (まぁ普通はこれだけあれば十分でしょう)。

オンラインモード

PLAYボタンで電源を入れた際に ISPケーブルが接続されている(MOSIが"L"レベルになっている)とこのモードに入り、内蔵モニタが起動してパソコンとの間で通信が可能になります。オンラインモードではパソコンからのコマンドでメディアのフォーマットやトラックの書き込み・消去などのトラック管理をすることができます。

モニタ操作時の表示例

ISPケーブルで接続、シリアルデータフォーマットは N81 38.4kbpsです。電源を入れる前に通信ソフトを起動しておかないと、ER信号が "H"にならないので、リセットが解除されず電源が入りません。トラック追加では MPEGデータを同期シリアルモードで高速転送するため、途中で専用プログラムを起動する必要があります。したがって、実際には DOSの通信ソフトが必要になります。転送速度は、25KB/sec〜35KB/sec程度となります。オンラインモードで使用可能なコマンドは次に示す通りです。

F/W書き込みモード

F/W (HEXファイル)は、ISPケーブルを接続して AVRSS.EXEで書き込みます。なお、書き込みを実行する時は PLAYボタンを押して電源を入れて、書き込みが終わるまで PLAYボタンを押さえていなければなりません (理由は言うまでもありませんが)。

その他注意事項

この MP3プレーヤはスマートメディアの物理・論理フォーマットには対応していません。独自フォーマットを使用しているため、1度フォーマットするとそのカードは他のスマートメディア対応機器では使用できなくなります。これはスマートメディアのフォーマットの仕様が非公開になっているからなのですが。誰か解析してみませんか?(特に解析マニアの方(^_^;)。

カードの活線挿抜を考慮した設計ではありません。電源ONの状態でソケットにカードを挿したり抜いたりするとカードや本体にダメージを与える恐れがあります。

資料

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