【注意】感電します!
ストロボスコープといって、一定間隔でフラッシュランプを発光させる(マルチ発光やマルチストロボなどと呼ばれる)タイプの照明があります。これは主に動きのある物体に対して使用され、特殊な照明効果を得ることができます。たとえば、写真撮影においては、動いている物体を一枚のフィルムに多重露光し、その運動を解析することに利用されます。また、目に見えない速度で回転や振動している物体に照射すれば、その周期(回転数や振動数)を測定したり、動きを止めたりゆっくり動いているように見える状態(ストロボ効果)で観察したりすることができます。ストロボスコープはこれらの工学的用途のほか、ステージのエフェクトなどのエンターテイメント的用途にも使われています。
以前にも、似たようなモノを作ったことがありましたが、今回は誰でも手軽に作れて様々な用途に使えるように、再現性と汎用性を持たせた設計とします。
ストロボスコープとして最低限必要な機能として、任意に設定したレートでの等間隔発光動作があります。このほか、外部からの信号に同期して発光する外部同期動作(遅延制御あり)も付けてみました。これはある種の撮影や観測に必要な機能です。
電子工作でよく使われていて入手の容易なU型ランプを使用します。このサイズでは、アノード電圧:250〜350V、平均電力:4〜5W程度のものが多いようです。
電源入力は、DC 9〜12Vとします。消費電力は数W程度が見積もられるので、小型のACアダプタや電池が利用可能になります。
ランプも制御回路もそれほど大きなものではないので、発光部と制御部を一つのケースに収めた一体型とします。ケースは、タカチのMB-3を使用しました。本体は机上に置いて使う以外にも何らかのブラケットに固定して使えると便利です。写真関係ではスクリュマウントかシューマウントがよく使われているようですが、本機は照明デバイスなので、底面にシューマウントを付けておきます。
右の図に製作したドライバ基板と回路図を示します。DC-DCコンバータで入力電圧を昇圧して250Vの放電電圧を生成しています。フラッシュ1回当たりのエネルギは、0.5J程度となりますが、このフラッシュエネルギではランプの定格電力の制限により10fps程度までしかフラッシュレートを上げられません。これ以上のレートでは、フラッシュエネルギを制御する必要があります。現在はIGBTの普及によりとても単純な回路で済んでいますが、以前は一旦開始した大電流放電を止めるのはかなり面倒だったようです。電源やトリガ入力は、コネクタを基板に直実装としてケースへの配線を省いています。外部トリガ入力コネクタは外部センサへの電源供給も兼ね、入力信号はコントロール基板にそのまま送っています。
ランプは基板上に実装し、ケースに開けた穴から光を放射するようにしてあります。無指向性のランプの光を効率よく外部に導くため、MCPETという高効率拡散反射シートを使用しました。ランプの放熱のため前面カバーは省略したので、うっかり中に指を入れると感電するかも知れません:-)
右の図に製作したコントロール基板と回路図を示します。最初は手軽にCLCDを使う予定でしたが、バックライト付きLCDが手持ちになかったのと、数字の表示がメインなら7セグLEDの方が視認性が良いので設計途中で変更しています。マイコンには5Vの電源電圧とLED直接駆動という条件により、AVRマイコンを使っています。
必要な制御出力は単純なタイミングパルス(IGBTの駆動信号)だけなので、特に難しい所はありません。ランプ電力を一定以下に抑えるためのパワー制御は、前回の発光からの経過時間に応じてフラッシュエネルギ(=出力パルスの幅)を調整することによって行います。
マイコン内蔵のタイマが16ビットなので、正確なタイミング制御には分解能が今ひとつと言えます。これで最大1秒の周期や遅延を得るには、16MHzのシステムクロックを256分周する必要があり、分解能は16μsになってしまいます。これはそのまま遅延時間の設定分解能、一定レートの発光ではDDA処理によるその範囲のジッタの発生となります。今回は特に問題にならなかったものの、余計な処理を減らすためには32ビットタイマが欲しかったところです。
このモードでは設定した一定のレートで発光します。発光レートは、1.0Hzから100.0Hzまでの0.1Hz単位で設定が可能です。
このモードでは外部トリガ入力の立ち上がりエッジから設定した遅延時間を置いて発光します。遅延時間は0.0msから999.9msまでの0.1ms単位で設定可能です。
設定値はEEPROMに記憶しておき、電源ONで復帰するようにします。保存のタイミングは、最後の操作から3秒後とすることで、設定値書き込みの頻度を下げてEEPROMの寿命を伸ばします。
